幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
「美葉」
「……ごめん、私が悪いです」
「いや、そうじゃなくて」
「うん? 怒ってるんじゃないの?」
「アイツがそこにいると落ち着かない。外に逃がして。……ください」
不本意そうに敬語で頼んできた彼に、思わずクスッと笑ってしまった。
やっぱり、洸は洸だ。つい世話を焼きたくなってしまうかわいい部分が今も残っていて、なんだかうれしくなる。
「任せて!」
椅子から立った私は壁に近づき、小さな蜘蛛にふっと息を吹きかけて床に落とすと、そのままデッキの端まで追いつめて、草むらの方へ逃げていくまで見届けた。
食事の後は協力して後片付けを済ませ、交代でバスルームを使ってベッドに入った。
ドーム状の窓からは寝そべったまま外が見える構造で、東京では見えないたくさんの星が、夜空を明るくしている。
いつも寝る直前までついついスマホ見てしまうが、今は自分の目に直接映るものが素敵すぎて、まったく見たいと思わなかった。
「美葉」
「んー?」
隣のベッドから洸に呼ばれ、寝返りを打って彼と目を合わせる。洸は少し目を伏せて何か考えた後、緊張した様子で口を開く。