幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
私……洸のこと、もうただの幼なじみだと思っていないのかもしれない。
その可能性に気づいてしまうと、途端に切なくなった。
だって私たちが選んだのは、恋愛感情を排除した友情結婚。私の胸に生まれつつあるこの甘やかな感情は、むしろ不純物だ。
……洸に、悟られないようにしないと。
「じゃあ、そろそろ寝よっか?」
これ以上深く考えたくなくて、私から会話を終わらせる。実のところ本音はその逆で、夜通し話していたいほど、気持ちは昂っていた。
「こんなにゆっくり寝られる日も珍しいからな。おやすみ、美葉」
「うん……おやすみ」
すぐに寝付けそうにはなかったけれど、とりあえず目を閉じる。
お酒を飲んだせいか、それとも自分が思うより疲れがたまっていたのか、何度か寝返りを打つうちにまぶたが重くなってきて、そのうち深い眠りに飲み込まれていった。
……喉、乾いた。
そう思いながら、目が覚めた。
枕元のスマホを手に取ると、深夜二時半を過ぎたところ。水を飲んだ後でもうひと眠りできそうだと考えながら、ベッドの中で軽く身じろぎする。
「……ん?」
すると身動きがとりづらいうえ、背中にぴたりと温かいものが寄り添っている感覚がして、寝ぼけていた思考が一気に覚醒した。
ゆっくり首を動かして背後を確認すると、隣のベッドで寝ていたはずの洸が私を後ろから抱きしめているではないか。