幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
まぶたの向こうが眩しい気がして、薄っすら目を開けた。窓の向こうにはすでに太陽が昇っている。
朝か……私、あれからちゃんと寝られたんだ。
布団をかぶったまま軽く身じろぎして、いつの間にか自由に動けていることに気づく。
あれ? 洸は――。
のっそり体を起こすと、彼の長身が窓の向こうに見えた。昨夜バーベキューをしたデッキのコンロを使い、料理をしているようだ。
もしかして朝食の準備してくれてる? って言うか私、どれくらい寝てたの?
枕もとのスマホを見ると、すでに午前八時を過ぎていた。慌ててベッドを抜け出し、デッキに出ていく。
「おはよう、洸。寝坊してゴメン」
「慌てなくてもいいよ。もうできるから、顔洗ってきたら?」
洸はコンロで目玉焼きとベーコンを焼いている。ジュウジュウ油が弾ける音と香ばしい香り、それが朝の澄んだ空気と交じり、なんとも空腹感が刺激される。
「う、うん。そうさせてもらうね」
洸が平常運転なので、私もいつも通りの態度を心掛け、一旦デッキを後にして室内へ戻る。
昨夜、彼が私のベッドに寝ていたのって、夢……じゃないよね、さすがに。
洸だって朝起きた時、『なんで俺が美葉のベッドにいるんだろう』と思ったはず。
なのにあえて触れないということは、あれは単に寝ぼけた末の行動で、口から出た発言も、単なる寝言だったということなのだろう。そうとしか思えない。
正直あの時の洸の体温や彼の香りに包まれる感覚は忘れられそうにないけれど、意識しているのはきっと私だけ。このまま触れないでいるのが正解だろう。