幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
「お疲れさま」
「お疲れ。あのさ……昼間の手術、だけど」
やっぱり、その話がしたくて私のところへ来たみたいだ。私は心を鬼にして、厳しい表情を作る。
「洸に悪気がなかったのはわかるよ。だけど、あれはダメでしょう。もしも患者さんが聞いていたらどう感じると思う? 真面目に手術してるのかって疑われちゃうよ」
「……返す言葉もない。反省してる」
しゅん、とうなだれる姿は、まるで捨てられた子犬のよう。グランピングの時もそうだったけれど、昔の彼のような姿を見ていると、つい絆されてしまう。
「まぁ、わかってくれればいいよ」
「以後、気を付けます」
「じゃ、この話はもう終わり。ところで今日の夕飯どうする?」
「そうだな。俺がなにか作るでもいいし、外食でも――」
ふたりで病院の廊下を歩き出し、平和に夕食の相談を始めたその時。ちょうど向かい側から歩いてきた男性ふたり組が、私たちの姿に気づいて足を止めた。
「おお~、お前たち。いいところにいた」
大きく手を振っているのは、洸のお父さん、高比良院長だ。隣にいる人物は、洸と同じくらいの身長で、少し癖のある長い黒髪を後ろに流したアンニュイなイケメン。
会うのは久しぶりだけれど、彼はもしかして……。