幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
「ねえ洸、院長と一緒にいるのって」
「……兄貴」
やっぱり。彼は、洸のお兄さんの章くんだ。
洸は鋭く目を細めると、章くんをまっすぐ見据えた。それに対し、章くんの方は私たちの姿を認めるとふっと表情をやわらげる。
「洸、美葉。久しぶりだな」
「やっぱり章くん……! いつ帰国したの?」
自然と早足で、院長たちの方へと近づく。洸はその後ろからゆったりとついてきた。
「つい最近だよ。ほら、美葉たちがキャンプに出かけてた日」
「そっか。じゃ本当に来たばっかりなんだね」
「……キャンプじゃなくてグランピングな」
洸が小声でボソッと訂正する。しかし章くんには聞こえなかったようだ。
「改めて結婚おめでとう。式は挙げないの?」
微妙な話題に触れられ、「ありがとう……」と応えながら動揺する。
結婚前の食事会の時に親同士はそんな話をしていた気もするけれど、『どうせ私たち友情結婚だし』という思いがあったから、あまり真面目に検討しなかった。
『忙しいからどうしようかな~』なんて曖昧に濁してその場は逃げた気がする。