幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
「私も親としてはやってほしいんだけど、どうだい? 美葉ちゃん」
「えっと、そうですね……」
「するつもりだよ、もちろん」
洸は意外にも、きっぱり断言した。
家族に期待されている手前、嘘でもいいから話を合わせておこうと思ったのだろうか。
洸の返事を聞いて、章くんが笑みを深める。
「へえ、楽しみだな。俺が日本にいる間だとありがたい」
「章くん、いつまでこっちにいられるの?」
「ハッキリとは決めてないんだ。俺はフリーランスの医者で、その時々で自分を必要としてくれる場所に行ってるから。でもしばらくは、この病院でお世話になるつもりだよ」
なるほど、章くんらしい。彼は飄々としてつかみどころのないところがカッコイイ反面、一カ所に留まるのが苦手そうだと、昔からなんとなく思っていた。
「フリーランスのお医者さんってホントにいるんだね……。実物、初めて見た」
「洸には感謝してる。ホントは俺が病院継がなきゃいけなかったのに、俺にその器がないから面倒な役割を押しつけてごめんな」
章くん……。そんな風に思っていたんだ。長男ゆえの責任感なのかな。