私の理想の王子様

突然の出会い

 ドシンという衝撃を腕に感じ、朝子は思わず目を閉じる。

 気がつけば階段の途中で、ふらついた女性を抱き止めていた。


 それにしても女性とはいえ、力が抜けた人の身体はこんなにも重いものなのか。

 女性の身体を支えながら、これは自分一人で耐えられるものではないと悟る。

(このままじゃ、二人とも転げ落ちちゃう……)

 朝子がそう思った瞬間「大丈夫ですか?」という低い声が耳元で響き、朝子は男性に後ろからぐっと支えられていた。

 まるで背中から抱きしめられるような格好に、こんな状況にも関わらず朝子の胸はキュンと高鳴る。

 ドキドキとしながら顔を上げた朝子は、朝子と朝子が支える女性に声をかける男性の横顔を見て、はっと息を止めた。


(この人、朝電車で会ったイケメン……)

 途端に朝子の心臓がドキドキと早足で叩き出す。

 まさか通勤電車で出会ったイケメンに、こんな所で再び遭遇するとは思ってもみないことだ。

(ど、どうしよう。気まずすぎるよ……)

 身動きの取れない朝子が焦りだした時、周りで騒然としていた他の人々もわらわらと集まって来た。
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