私の理想の王子様
「いつ連絡が来るかって、ずっと待ってたのに、朝子は全然連絡をくれないんだもんな」

 わざとらしく小さくため息をつく須藤に、朝子は慌てたように下から須藤の顔を見上げる。

「だ、だって……どこまで頑張ったらやりきったってことになるのか、わからなくなっちゃって……」

 眉を下げる朝子の額に、須藤がこつんとおでこを当てる。

「まったく、朝子らしいな」

「え……」

「そういう真面目なところ。でもね、簡単なんだよ」

「簡単って?」

 須藤が何を言おうとしているのかわからず、朝子は小さく首を傾げる。

 すると須藤はにっこりとほほ笑んだ顔を覗き込ませた。


「素直に言えばいいんだよ。会いたければ、会いたいって言っていい。辛ければ辛いって言っていいんだ。俺たちは、もう二人でひとつなんだから」

 須藤はそう言うと、朝子をゆっくりとベッドの上に起き上がらせる。

「瑛太さん?」

 朝子が不思議そうな顔をすると、須藤は朝子の両手を包み込むように握った。


「向こうでの仕事が思ったより順調に進んでるんだ。多分予定より早めにこっちに帰って来られる」

 須藤の話に、朝子は思わず「え……」と声を上げる。

 須藤は事務所の立ち上げメンバーとしてアメリカに行っていた。

 早くても二年はこちらに帰れないだろうと聞いていた朝子は、喜びで頬を蒸気させる。
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