私の理想の王子様

波乱の忘年会

 異業種交流会の忘年会の日は、雪が降りそうなほど寒い日だった。

 朝子はいつも以上に念入りにメイクをして準備を整えると、指定されたレストランが入る建物へと急ぐ。

 今日の会場は最近オープンしたばかりの商業ビルに入っており、高層階なのにバルコニー席があることで話題になっているレストランだ。

 朝子は会場に到着すると、一旦入り口に近くに備え付けられた鏡でチラッと姿を確認する。

 今日のスタイルは黒のタートルニットにブラウンのジャケットを羽織り、細身の黒のパンツを合わせた。

 ササッと手櫛でショートヘアを後ろに流した朝子は、グレーのロングコートを脱ぐと、クロークの女性に手渡す。

 やや緊張しながらジャケットの襟を正すと、すでに楽しそうな人の声が漏れ聞こえている会場へと向かった。


「朝哉さん!」

 すると入り口の近くで待っていたのか、ミチルが満面の笑みで出迎えてくれる。

 今日のミチルは相当気合いが入っているようで、白いシフォン生地のワンピースにレースのストールを合わせていた。

「こんばんは」

 朝子がにっこりとほほ笑むと、ミチルはパッと花が咲いたように再び笑顔になる。

 朝子はそんなミチルの様子をそっと伺った。

『二人だけでお話したいことがあります』

 ミチルのメールの内容に、無意識に身構えてしまう。
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