私の理想の王子様
 するとミチルは何か感じたのか、わざとらしく大きく手を叩いた。

「そうそう! ここ、バルコニー席が有名だってご存じですか? 凄いんですよ!」

 ミチルは朝子の腕をぐっと組むと、「こっちこっち」とずんずんと会場へと入って行った。

「ちょ、ちょっとミチルさん?」

 ミチルの勢いに圧されながら、朝子は会場内を進んで行く。

 途中、顔見知りになった人々と挨拶を交わした朝子は、ミチルに腕を引かれながら、サッと辺りの様子を伺った。

 さすがレストランでのパーティーだからか、女性も男性も皆オシャレをしており、キラキラと輝いている。

 すでに半数以上の人は集まっており、楽しそうに食事や会話に花を咲かせる様子が見えた。


 すると奥の方に、ひと際人だかりができている場所がある。

 周りの女性よりも頭一つ飛び出している後ろ姿から、そこに須藤がいるのだとすぐにわかった。

(やっぱり、須藤さんも来てるんだ……)

 するとしばらくして、須藤の隣に立つ小柄な女性が、須藤の腕を取り身体を寄せるのが見える。

 女性は背の高い須藤を上目づかいで見つめると、つま先立ちになりながら須藤の耳元で何をささやいた。

 須藤は腰をかがめて、くすくすと笑いながら女性の話を聞いている。

 その様子を見た瞬間、朝子の胸がチクリチクリと痛みだした。
 
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