私の理想の王子様
(本当の……自分? どういうこと?)

 動揺した朝子が顔上げると、須藤は優しそうな目を細めて、にっこりとほほ笑んだ。

「俺は、どっちの君にも興味があるんだよね」

「そ、それって、どういう……」

 朝子はしどろもどろになりながら口を開く。

 まさか須藤は、朝子が朝哉を演じていることに気がついているとでも言うのか?


「うーん、つまりは……」

 須藤はしばらく考え込むように顎先に手を当てていたが、突然長い腕を伸ばすと、朝子を後ろから包み込むように抱き締めた。

「ちょ、ちょっと!?」

 慌てた朝子が身体を離そうとするが、須藤の力が強くて身動きが取れない。

 須藤はくすりと笑うと、突然右手で朝子の顎先をクイッと持ち上げた。

「こういう意味かな?」

 須藤の口元から白い吐息に混じって低い声が聞こえる。

 その次の瞬間、須藤は何の躊躇いもなく朝子の唇を奪ったのだ。


「んっっ」

 突然のキスに、朝子は須藤の胸元をドンドンと叩くが、抱きしめられる力はさらに強くなる一方だ。

 すると須藤は、何度が軽いキスを重ねた後、一気に深いキスを降らせてきた。

 あまりに甘いキスに、朝子は次第に抵抗すらできなくなってしまう。
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