私の理想の王子様
「それにしても……」

 すると目の前のミチルが、急に口元を尖らせながら須藤の顔を見る。

「まさか、須藤さんが恋のライバルだなんて思いもしませんでしたよ! お二人はいつから付き合ってるんですか?」

 ぷりぷりと頬を膨らませるミチルに、朝子は慌てて両手を顔の前で振る。


「ち、違うの。須藤さんはついて来てくれただけで……付き合ってるだなんて……」

 朝子は焦って否定する。

 朝子は須藤のことが好きだと自覚しているが、須藤が朝子のことをどう思っているかはわからない。

(あのキスだって、私の素顔を引き出すためだったかも知れないし……)

 でもそんなことを考える朝子に反して、須藤はあははと楽しそうに声を上げた。


「ミチルちゃんは鋭いなぁ。今日ね、本気で口説こうと思ってたところ」

 あっけらかんとそう言う須藤に、朝子は「えぇっ!?」と素っ頓狂な声を出してしまう。

(口説くって、そんな……)

 つまり須藤も朝子のことを好きだということだろうか?

 すると顔を真っ赤にする朝子と、須藤の顔を交互に見ていたミチルだが、急に立ち上がると強く拳を握った。

「私決めました! いつか朝哉さんよりも、須藤さんよりも素敵な彼を見つけてみせる! そのためにも、異業種交流会は辞めて、まずはちゃんと仕事します」
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