私の理想の王子様
(須藤さんの言葉は、いつだって私の心に素直に響くんだ……)

 朝子は胸の前で両手をぎゅっと握り締めた。

 こういう時、やはり自分は須藤のことが、たまらなく好きなのだと思い知らされる。

 朝子は顔を上げると、夕日を浴びてブロンド色に輝く須藤の髪を見つめる。

 その柔らかに揺れる曲線を眺めながら、朝子の心臓はドキドキと駆け足で叩きだした。


 ミチルに本当のことを話した後は、須藤に自分の気持ちを伝えるつもりだった。

 でもいざとなったらどうしたら良いのかわからない。

(どうやって言い出そう……)

 朝子が目線を再び前に向けた時、ひと際強い風が吹き、川の水面が大きく波打った。

 その風のあまりの冷たさに、朝子は思わずクシュンとくしゃみをしてしまう。

「ちょっと冷えてきたね」

 すると須藤は自分ロングコートの前を開くと、朝子を後ろから包み込むように抱きしめた。

「きゃ……す、須藤さん……!?」

 朝子は慌ててもがくが、須藤は朝子を捕まえたまま離してくれない。

 そのまま朝子は須藤の腕の中にすっぽりと包み込まれてしまった。


 須藤の鼓動の音と温もりを感じながら、朝子はだんだんとうす暗くなる川を見つめる。

 向かいのタワーのライトアップが川面に浮かびあがり、イルミネーションのようにキラキラと輝いていた。
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