私の理想の王子様
「気になってた女の子?」

 朝子は驚いたように目を丸くすると、口をあんぐりと開けて固まったように停止する。

(つまり、須藤さんはずっと前から私のことを知ってたってこと……!?)

 そんな朝子を見て須藤は再びあははと声を上げた。


「毎朝見てたんだよ、朝子ちゃんのこと。あんなに幸せそうな顔して、スマホを覗く子はいないからね」

「えぇぇぇ……」

 朝子は恥ずかしすぎて今にもへなへなと倒れそうだ。

 でもその一方で、須藤の言葉に妙に納得してしまう自分がいる。

 やはり須藤は、最初からすべてわかっていて朝哉と接していたということだ。

(やっぱり、須藤さんには敵わないな)

 すると須藤が優しい瞳で朝子の目をじっと見つめた。


「俺にとってはね、朝哉クンの姿であっても、朝子ちゃんの姿であっても、どちらも君であることに変わりないんだよ。俺にとってはどちらの君も愛しいからね」

 須藤の言葉に朝子の胸がキュっと掴まれたようになる。

 なぜ自分がこんなにも須藤に惹かれるのか、その理由がやっとわかった気がした。

(須藤さんは、私の見た目を通り越して、本質を見てくれる人なんだ)

 きっとこんな人には、人生でもう二度と出会えないだろう。

 朝子は静かに瞳を上げると、須藤の顔を真っすぐに見つめた。


「須藤さん、私、須藤さんのことが好きです」

 朝子の告白に、須藤はにっこりとほほ笑むと、優しく目を細める。
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