私の理想の王子様
「田野倉さん、百貨店のイベントって見たことないでしょう? 結構盛り上がるから、よかったら見に来て」

 間宮はそう言うと、縦長のリーフレットを朝子に渡した。

 “メイクデモンストレーション ステージショー”と書かれたリーフレットには、今週末の日付と間宮の顔写真が載っている。


「デモって、間宮さんがするんですか!?」

 朝子は驚いたように声を出す。

「そうなの! ここのステージでデモするのは、私の目標だったんだよね」

 本当に嬉しそうに笑う間宮に、朝子は大きくうなずいた。

 百貨店で年に一度大々的に開催されるイベントでは、各ショップから目玉商品の販売を目的としたステージショーが開催される。

 ボウ・ボーテも毎年このイベントに力を入れており、ステージ上でのメイクデモンストレーションは、その年一番活躍したBAが担当すると決まっていた。


「すごいですね!」

 ボウ・ボーテのBAであれば誰もが一度は憧れる花形の仕事だ。

 朝子には間宮がとても輝いて見える。

「私も当日はスタッフで会場にいるし、よかったら見に来てね。朝子ちゃん」

 由美に肩をぽんと叩かれ、朝子はにっこりとほほ笑んだ。

 デモンストレーションの日は、須藤と外でランチデートをしようと話していた日だ。

(場所も近いし、瑛太さんに聞いてみようかな)

 朝子はリーフレットをぎゅっと握り締めると、間宮と由美に大きくうなずいたのだ。
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