私の理想の王子様
「……どういうこと?」

 思わず声を出した朝子に、須藤が「どうしたの?」と、不思議そうに首を傾げる。

「いつものデモンストレーションと違って……明らかに左半分は、男装メイクなんです」

 すると驚く朝子の後ろから「朝子ちゃん」と名前を呼ぶ声が聞こえた。

 振り返ると立っているのは由美だ。

 由美はにんまりとほほ笑むと、朝子と朝子の隣に立つ須藤に会釈をする。


「びっくりしたわよぉ。まさかこんなイケメン連れだなんて」

 朝子の肘をツンツンとしながら、由美が耳元でささやく。

「あ、あの。瑛太さんは私の彼なんです……」

 顔を赤くした朝子がもじもじと紹介すると、須藤はいつもの全開の笑顔を由美に向けた。

「初めまして、須藤です。朝子の先輩の由美さんですよね。よく話は聞いてます」

 百点満点な須藤の対応に、由美はポーッとして完全にのぼせ上がっている。

「ちょ、ちょっと由美さん!?」

 朝子がそう声を出した時、ステージから大きな歓声が聞こえ、三人ははっとすると下の階を覗き込んだ。


 ステージ上ではメイクが完成し、モデルがスポットライトを浴びながら立っている。

 左右で全く違う印象の顔になったモデルを、間宮が半分ずつ顔を隠しながら説明を始めた。
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