御曹司の深い愛が双子ママの心を甘く溶かす
「ママ……。ハチこわい」
一方で私の左手をぎゅっと握りしめながら隣をぴったりとくっついて歩いているのは晴輝の双子の兄である充輝。
コスモスの近くを飛ぶ蜂に怯えて、私から離れようとしない。
「大丈夫だよ。なにもしなければ蜂さんはみっくんのところにはこないから」
「うん」
頷いた充輝だが、それでも蜂がこわいのか小さな手で私の手をぎゅっと握ったままだ。そんな充輝の髪を優しく撫でて微笑んだ。
活発な晴輝とは違い、充輝はおっとりとした性格で、少しこわがりなところがある。
ふたりは一卵性双生児で顔も背丈もそっくりなのに性格は正反対。好きな色や食べ物も違うし、お気に入りのおもちゃも違う。
日々ふたりのいろいろな違いを見つけるのがおもしろくて、双子育児は大変だけれど私なりに楽しんで子育てをしている。
今日はふたりを保育園にお迎えに行った帰り道で晴輝がコスモス畑に行きたいと言うので寄ってみた。
正直なところ早く帰って夕食の支度をしたいけれど、明日は土曜日で私の仕事も保育園もお休みなのでまぁいいかと思うことにした。
「あっ、晴輝! そこで待っててって言ったでしょ」
私と充輝が追いつく前に、晴輝が再び走り出した。急いで追いかけたいが、蜂に怯えてぴったりとくっつく充輝がいるので無理そうだ。
抱っこという手もあるが、一日の疲労が貯まった体で十三キロを抱えて歩くのはしんどい。