御曹司の深い愛が双子ママの心を甘く溶かす


「えっと……三澄社長はここよりも本格的なバーがお似合いというか」


 この店は私でも通えるようなカジュアルバーだ。

 大企業の御曹司である三澄社長なら会員制だったり、高級ホテルの中に入っているような私では敷居が高すぎて入れないバーにだって余裕で入れるはず。 

 それなのにどうしてカジュアルバーへ飲みに来ているのだろう。


「気になっている女性の行きつけのバーなんだ」


 そう言うと、三澄社長は視線をすっと前に向けた。

 気になっている女性ということはつまり好きな女性ということだろう。三澄社長はその人に会いたいからここへ来ているらしい。


「それなら私と一緒に飲んでいてもいいんですか?」


 もしも三澄社長の気になっている女性がこの状況を見たら誤解してしまうかもしれない。そうなれば実る恋も実らない。


「問題ない。彼女には恋人がいるから、俺のことなんて出会った頃から眼中にないよ」


 静かに呟き、三澄社長は片手で持ったグラスを傾けゆっくりとお酒を飲んだ。

 その横顔がどこか寂しそうに見える。

 三澄社長は片思いをしているんだ。好きな女性に恋人がいると知りながらも、会いたくてこのバーへ来ている。

 ついさっき彼は女性に不自由していないのだろうと思ったばかりだが、三澄社長にも叶わない恋というものがあるらしい。


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