御曹司の深い愛が双子ママの心を甘く溶かす
隣から三澄社長の突き刺すような視線が向けられる。
「酔ってどうするつもりだ」
「どうもしません。ただ、いろいろと忘れたいことがあるんです」
「なにかあったのか?」
三澄社長の体がわずかに私の方へ寄る気がした。
「俺でよければ話を聞くが」
「ありがとうございます。でも、お気持ちだけで十分です」
話したところで三澄社長に私の気持ちはわからないと思う。
女性に不自由していないだろう完璧な容姿と、御曹司という立派な肩書き。三澄社長は恋人を振ることはあっても振られることはないのではないだろうか。
仕事も順風満帆なはずだ。彼がMISUMI電気の社長に就任してから売上が右肩上がりだと、調理担当のパートさんたちが話していた。
恋愛や仕事に対して悩みなんてなさそうな三澄社長に私が恋人に浮気をされて振られたことも、普段ならあり得ない仕事のミスをしたことも知られてしまうのが恥ずかしい。
それに、もしも話したとしてそんなちっぽけなことで落ち込んでるのかと冷笑されたら今度こそ立ち直れない気がする。
「そういえば三澄社長はどうしてこのバーへ?」
話題を変えようと思い尋ねると三澄社長に軽く睨まれた。来ちゃいけないのかと、目で言われているようで慌てて言葉を付け足す。