御曹司の深い愛が双子ママの心を甘く溶かす

 あの頃の俺はMISUMI電気の社長に就任したばかりで、周囲からの期待とプレッシャーに常に醸されていた。

 というのもMISUMI電気は国内にある電気メーカーの中で常にトップの売上を誇る企業であり、MISUMIホールディングス全体の中核を担っている。

 そんな主要企業の社長を任されたことはとても光栄だが、同時に責任感と重圧感で押し潰されそうになるときもあった。

 就任してからはプライベートを捨てて仕事一筋で過ごした。

 かなり無理をしている自覚はあったし、売上をさらに伸ばすため当時の部下たちに無茶な要求をするなど自分の仕事スタイルを押し付けようとしていた。

 就任から半年ほどが経った頃、社内交流会が食堂で開かれることになった。

 食堂のランチを食べながら社長である俺と入社三年以内の若手社員たちが意見を交換し合う会だ。

 そのときランチの定食を俺に手渡してくれたのが管理栄養士として働いていた有紗だった。

 笑顔で明るく『お疲れ様です』と接してもらった瞬間、社長に就任して以来常に張り続けていた緊張の糸がプツンと切れる感覚がした。

 不思議と心が軽くなり、その後の交流会はいつになくリラックスして若手社員たちと意見を交換し合うことができ、とても有意義な時間を過ごせた。


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