御曹司の深い愛が双子ママの心を甘く溶かす

 それ以来、有紗のことが頭から離れず、会議へ向かうときなどわざわざ社員食堂の前を通るようにするほど彼女の姿が見たくてたまらなかった。

 食堂で働く同僚たちに明るく接しているところや、社員食堂で落ち込んでいる社員にさりげなく声を掛けて励ましているところ、健康に悩む社員の栄養相談も親身になって対応しているところなど、いつ見ても彼女は他人のために一生懸命だった。

 きっと心が温かい女性なのだろう。そう思い、自分にはそんな温かさがないことにふと気付いた。

 MISUMI電気の社長として成果を出すために時には部下に対して横暴に振る舞っているのではないか。

 いくら売上が向上しても、社員を大事にできないようでは社長失格だ。そんな当たり前のことに気づかせてくれたのも有紗だった。 

 その日から俺は自分の態度を改めた。結果、部下たちは俺に意見が言いやすくなったのか、彼らの意見も取り入れることで業績はさらに伸びた。

 社長就任以来感じていたプレッシャーも不思議と軽くなり、自分らしく仕事に取り組むこともできた。 

 全部、有紗のおかげだ。

 彼女のそばにいたら俺は変われるかもしれない。

 そう思うようになり、俺の中で有紗が特別な女性になるのには時間がかからなかった。


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