天使と悪魔~私、ヤクザの愛人になりました~
「おかえりなさいやせ、若。」


光さんのレッスンが終わると、心さんが帰ってきました。今日はいつもよりも早く、どこか嬉しそうです。


「修業は大変か……?」
「未熟な私にはまだまだ覚えなければいけないものがたくさんありますが、とても楽しいですよ。」

「そうか、明日も頑張れよ。光、後で明日の仕事の確認がある。部屋に来れるか?」


「わかったよ。ところでいつから子作りするの?」
「は……?」

「そんなセンシティブなことだった?入籍もしたし、そろそろ子作りもするんだと思ってたんだけど……。」
「今の仕事が落ち着いたらとは考えているが、そんなに急ぎか?」

「いや、気にしないでいい。子供が生まれるまでには、京子を取り戻せたらってだけだから。」
「おい、皆。光、天と3人だけで話したいことがあるんだ。席を外してくれるか?」



心さんの一声で、舎弟の方々が部屋を出ていきます。子作りについて話し合うのでしょうか?それとも夜伽のレッスンについて……?



「京子の居場所が判明した。今は組のものを何名か送り様子を見ている。」
「それは……本当ですか?」

「本当だ。京子を買ったオーナーがたまたま海軍に面識のある人間だったらしい。戦闘員として京子を買った。あいつは運がいいみたいだな。お金だけじゃ渋っていたが、何人か人員を派遣すると言ったら合意してくれた。1週間後に日本へと戻ってくる。」

「京子が戻ってくるのは嬉しいけど、わざわざ俺たちだけで話すってことは、何か裏があるんじゃないのか?」

「お前の察しの良さは恐ろしいな。まあ、組にとって……特に天にとって大事なことだ。」
「私にとって……ですか?」

「お前の許しが必要なことだ。イクトを正式にうちの組へ入れることになった。」
「おい、待てよ!イクトって逢魔のか?」


イクトくんが……亜魔野組に入る……?心さんは、あいつはもう見せしめとして帰ってくることはないと言っていました。私がめった刺しにし、殺しかけたイクトくん……。彼がしたことを私は許せるんでしょうか……。


「京子を見つけたのは、イクトなんだ。当初は海外で始末をする予定だったんだが、あいつが最後に俺に取引をもちかけた。半年だけ待ってくれれば、必ず京子を連れてくると。半信半疑だったが本当に居場所を突き止めやがった。こうなるとあいつに借りができる。それを相殺するため、死ぬまで亜魔野組で面倒を見ることを検討しているんだが……。」

頭の中で困惑が膨らんでいきます。あれだけ憎いと思ったイクトくん。でも、そのイクト君が京子さんを見つけてくれた……。だけど……


「お前が許せないと言うなら、イクトを組には入れない。だが、京子をタダで返してくれるとは限らない。京子の身柄とイクトへの免罪、どちらを選ぶ……?」

「もう京子さんは戻ってくるんですよね……?」
「ああ、そうだ。」

「イクトくんも……日本に…亜魔野組に戻るんですね。」
「ああ。」

「お願いがあります。イクトくんと2人だけで話がしたいです。イクトくんを組に入れることは構いません。ただ……許すか許さないかは、イクトくんと話してから決めたいんです。どうしても……伝えたいこと、聞きたいことがあるんです。」

「わかった。それならイクトにも日本へ戻るよう伝えておく。1週間後、その日が来たら決めればいい。無理を言うようなことはしない。だから、悔いのない答えを選べ。」

「はい……。」
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