ブーケの行方と、あの日の片思い
第四十二章:二度目のデートの連絡
ヘッドフォンの手配を済ませたあとは、優花はただひたすらに──
次の約束の連絡を待っていた。
宏樹は「またすぐ連絡する」と言ってくれた。
けれど彼の繁忙を知っているからこそ、催促などできない。
水曜日、木曜日。
仕事に集中しようと努めながらも、ふとした拍子にスマートフォンへ視線が吸い寄せられてしまう。
(忙しくしてるんだろうな…)
そう思い、静かに待つしかなかった。
そして金曜日の夜。
ようやく退勤し、駅に降り立ったその瞬間──
優花のスマホが震えた。
画面には、待ち望んでいた名前。
沢村 宏樹
お疲れ様。今、やっと落ち着いたよ。
来週の日曜日、夜はどうかな?
次の撮影スポットは東京駅近くのビルで、そこからの夜景がかなり魅力的なんだ。
雨が降ってたら、逆に光が反射して最高だと思う。
日曜の19時、東和ビルの一階エントランスで待ち合わせはどう?
優花は歩みを止め、何度もメッセージを読み返した。
耳元で電車が発車する音が響いているのに、まるで聞こえなかった。
(来週の日曜日……! しかも東京駅……!)
すぐに地図アプリを開き、指定されたビルの場所を確認する。
都心の中心部。
そして彼の会社からもほど近い。
優花は、そこで気づいた。
(仕事が本当に大変なんだ…だから、移動の負担が少ない都心なのね)
もし忙しさが落ち着いていたなら、前回のように郊外の高台や、もっと遠くの夜景スポットを選んでいたはずだ。
それでも宏樹は、疲れた体を押して、
優花との約束を第一にしてくれている。
その事実だけで、胸が熱くなる。
優花は、すぐに返信を打った。
優花
宏樹さん、お疲れ様です!
ご連絡ありがとうございます。日曜日、ぜひお願いします!
19時に東和ビルのエントランスですね、承知しました。
東京駅の夜景、とても楽しみです。
雨が降っても綺麗に見える場所を選んでくださって…ありがとうございます。
私も本当に楽しみにしています。
ヘッドフォンも、その時にお渡ししますね!
送信してすぐ、短いメッセージが返ってきた。
ありがとう!
それだけで十分だった。
彼が忙しい中でも、この時間を大切にしてくれているのが分かる。
優花は、来週の日曜日を思い浮かべた。
ヘッドフォンを渡す瞬間。
また二人で夜景を覗き込み、光の中で声を落とす時間。
それはもう、「二度目の夜景撮影」ではない。
二人の関係が、確実に動き出す夜。
優花は胸の高鳴りを抱えたまま、家路についた。
次の約束の連絡を待っていた。
宏樹は「またすぐ連絡する」と言ってくれた。
けれど彼の繁忙を知っているからこそ、催促などできない。
水曜日、木曜日。
仕事に集中しようと努めながらも、ふとした拍子にスマートフォンへ視線が吸い寄せられてしまう。
(忙しくしてるんだろうな…)
そう思い、静かに待つしかなかった。
そして金曜日の夜。
ようやく退勤し、駅に降り立ったその瞬間──
優花のスマホが震えた。
画面には、待ち望んでいた名前。
沢村 宏樹
お疲れ様。今、やっと落ち着いたよ。
来週の日曜日、夜はどうかな?
次の撮影スポットは東京駅近くのビルで、そこからの夜景がかなり魅力的なんだ。
雨が降ってたら、逆に光が反射して最高だと思う。
日曜の19時、東和ビルの一階エントランスで待ち合わせはどう?
優花は歩みを止め、何度もメッセージを読み返した。
耳元で電車が発車する音が響いているのに、まるで聞こえなかった。
(来週の日曜日……! しかも東京駅……!)
すぐに地図アプリを開き、指定されたビルの場所を確認する。
都心の中心部。
そして彼の会社からもほど近い。
優花は、そこで気づいた。
(仕事が本当に大変なんだ…だから、移動の負担が少ない都心なのね)
もし忙しさが落ち着いていたなら、前回のように郊外の高台や、もっと遠くの夜景スポットを選んでいたはずだ。
それでも宏樹は、疲れた体を押して、
優花との約束を第一にしてくれている。
その事実だけで、胸が熱くなる。
優花は、すぐに返信を打った。
優花
宏樹さん、お疲れ様です!
ご連絡ありがとうございます。日曜日、ぜひお願いします!
19時に東和ビルのエントランスですね、承知しました。
東京駅の夜景、とても楽しみです。
雨が降っても綺麗に見える場所を選んでくださって…ありがとうございます。
私も本当に楽しみにしています。
ヘッドフォンも、その時にお渡ししますね!
送信してすぐ、短いメッセージが返ってきた。
ありがとう!
それだけで十分だった。
彼が忙しい中でも、この時間を大切にしてくれているのが分かる。
優花は、来週の日曜日を思い浮かべた。
ヘッドフォンを渡す瞬間。
また二人で夜景を覗き込み、光の中で声を落とす時間。
それはもう、「二度目の夜景撮影」ではない。
二人の関係が、確実に動き出す夜。
優花は胸の高鳴りを抱えたまま、家路についた。