新堂さんと恋の糸
ノートに描かれていたのは、アパレルショップの店舗デザイン。
見開きの左側は現在の店内の見取り図、右側のページに櫻井が考えた変更案が描かれている。
「今日ここに来る前にお店を覗いてみたんです。そうしたらお店の奥にある試着室前で、買い物中のカップルがいまして――」
カップルの片方が時間を持て余さないようにするにはどうしたらいいか。そこに目を付けたのか、と単純に驚いて聞き入る。
店舗に赴き、彼女なりに問題点を見つけてそれを落とし込んでいるのは悪くない。それによって新たな問題点も浮上するが、それは些細な問題だった。
けれど彼女は「全然駄目でしたね」と肩を落としている。
「そうは言ってない。アイデア自体は面白いし有効性もある。ただ他の視点が抜けていただけだ。ペン貸して」
櫻井が描いた画の下に今思いついた改善案を含めた画をざっくりと描くと、感嘆の声が漏れたのが聞こえた。
―――思った通り、そういうことか。
「今考えてること当ててやろうか」
「え?」
「『やっぱり私には無理だ、こんな絵なんて描けない』」
櫻井はびっくりしたように目を見開く。図星だったのだろう。
見開きの左側は現在の店内の見取り図、右側のページに櫻井が考えた変更案が描かれている。
「今日ここに来る前にお店を覗いてみたんです。そうしたらお店の奥にある試着室前で、買い物中のカップルがいまして――」
カップルの片方が時間を持て余さないようにするにはどうしたらいいか。そこに目を付けたのか、と単純に驚いて聞き入る。
店舗に赴き、彼女なりに問題点を見つけてそれを落とし込んでいるのは悪くない。それによって新たな問題点も浮上するが、それは些細な問題だった。
けれど彼女は「全然駄目でしたね」と肩を落としている。
「そうは言ってない。アイデア自体は面白いし有効性もある。ただ他の視点が抜けていただけだ。ペン貸して」
櫻井が描いた画の下に今思いついた改善案を含めた画をざっくりと描くと、感嘆の声が漏れたのが聞こえた。
―――思った通り、そういうことか。
「今考えてること当ててやろうか」
「え?」
「『やっぱり私には無理だ、こんな絵なんて描けない』」
櫻井はびっくりしたように目を見開く。図星だったのだろう。