新堂さんと恋の糸
「何より次号の締切も迫ってる。もちろん原因究明も大事だけど、月刊誌に穴を開けるわけにはいかないわ。分かるでしょ?」
確かにその通りだった。最終の校正チェックの締め切りも迫っている。
編集長は腕時計の時間を確認すると、立ち上げていたパソコンを閉じて立ち上がった。
「あの編集長、どちらへ?」
「新堂さんの事務所へ謝罪と状況説明をしに、今から上と行ってくるわ」
「あ、あのっ、私もいっしょに行かせてください……!」
実害は分からないにしろ新堂さんの写真とともに流出してしまった。こんな形で、約束を破ってしまった私も謝罪に行きたい。
「櫻井さんは新しい誌面を仕上げて。そうね、十四時までにたたき台を作っておいて」
「でも、」
正直、こんな状況で仕事なんて手につかない。そんな私の心情を見抜いたように、編集長は私の肩を一度叩いた。
「さすがに流出してしまったものそのままは使えないから、少し構成を変えないといけない。それは、これまでずっと取材してきた櫻井さんにしかできないことでしょう?」
そう言って園田編集長は、私を宥めるように笑う。
こんな状況になっても、まだ自分を信頼してくれている。それに報いなければいけないと、私は分かりました、と頷いた。
「編集長、私もご同行しましょうか?」
「いえ、麻生さんはこのまま櫻井さんのフォローをお願い。私が戻ったら三人でまた打ち合わせよ。徹夜を覚悟してね!」
じゃあ頼んだわよ、と念押しするように言うと、編集長はさっそうと編集部を駆け出して行った。
確かにその通りだった。最終の校正チェックの締め切りも迫っている。
編集長は腕時計の時間を確認すると、立ち上げていたパソコンを閉じて立ち上がった。
「あの編集長、どちらへ?」
「新堂さんの事務所へ謝罪と状況説明をしに、今から上と行ってくるわ」
「あ、あのっ、私もいっしょに行かせてください……!」
実害は分からないにしろ新堂さんの写真とともに流出してしまった。こんな形で、約束を破ってしまった私も謝罪に行きたい。
「櫻井さんは新しい誌面を仕上げて。そうね、十四時までにたたき台を作っておいて」
「でも、」
正直、こんな状況で仕事なんて手につかない。そんな私の心情を見抜いたように、編集長は私の肩を一度叩いた。
「さすがに流出してしまったものそのままは使えないから、少し構成を変えないといけない。それは、これまでずっと取材してきた櫻井さんにしかできないことでしょう?」
そう言って園田編集長は、私を宥めるように笑う。
こんな状況になっても、まだ自分を信頼してくれている。それに報いなければいけないと、私は分かりました、と頷いた。
「編集長、私もご同行しましょうか?」
「いえ、麻生さんはこのまま櫻井さんのフォローをお願い。私が戻ったら三人でまた打ち合わせよ。徹夜を覚悟してね!」
じゃあ頼んだわよ、と念押しするように言うと、編集長はさっそうと編集部を駆け出して行った。