新堂さんと恋の糸
◇◇◇◇
有休一日目は、泥のように眠った。
二日目の今日は寝すぎてぼうっとするけれど、ふとしたときに編集長に言われた言葉が頭の中をリフレインする。何もする気が起きないけれど空腹だけは覚えるようで、適当にありあわせのものを食べて、またベッドに潜り込む。
あの日から、当たり前だけれど新堂さんから連絡はなかった。
私もなんて送ればいいのか分からなくて、ただ気がつくとスマートフォンでメッセージアプリを開いてしまう。それが嫌で、私は特に興味もないネットニュースを見るともなく見ていた。
(明日からはまた仕事だし、そろそろちゃんとしないといけないんだけど……)
そんなふうに過ごしながらお昼も過ぎた頃、手に持っていたスマートフォンが鳴った。画面を見ると、有働くんからの着信だった。
「あ、櫻井。あのさ、今って家にいる?」
「いるけど……どうしたの?」
また仕事のことでトラブルだろうか。
この間のこともあり、嫌な予感がよぎって無意識に声が強張ってしまう。
「よかった。今から外出れる?櫻井に付き合ってほしいことがあるんだけど」
聞こえてきた声は明るく、そして予想外のものだった。
「今からって、今日は仕事じゃないの?」
「俺も有休」
正直誰とも会いたい気分ではないし、外に出かける気力もなかった。どうやって断ろうか、なんて失礼なことを考え始めていたとき「実はもう下にいるんだけど」と言われて、スマートフォンを落としそうになる。
「………ええっ!?」
ベッドから飛び起きて、昨日から閉め切っていたカーテンを開けると真昼の日差しに一瞬目が眩む。
窓から下を覗くと、こちらを見上げて手を振っている有働くんがいた。
有休一日目は、泥のように眠った。
二日目の今日は寝すぎてぼうっとするけれど、ふとしたときに編集長に言われた言葉が頭の中をリフレインする。何もする気が起きないけれど空腹だけは覚えるようで、適当にありあわせのものを食べて、またベッドに潜り込む。
あの日から、当たり前だけれど新堂さんから連絡はなかった。
私もなんて送ればいいのか分からなくて、ただ気がつくとスマートフォンでメッセージアプリを開いてしまう。それが嫌で、私は特に興味もないネットニュースを見るともなく見ていた。
(明日からはまた仕事だし、そろそろちゃんとしないといけないんだけど……)
そんなふうに過ごしながらお昼も過ぎた頃、手に持っていたスマートフォンが鳴った。画面を見ると、有働くんからの着信だった。
「あ、櫻井。あのさ、今って家にいる?」
「いるけど……どうしたの?」
また仕事のことでトラブルだろうか。
この間のこともあり、嫌な予感がよぎって無意識に声が強張ってしまう。
「よかった。今から外出れる?櫻井に付き合ってほしいことがあるんだけど」
聞こえてきた声は明るく、そして予想外のものだった。
「今からって、今日は仕事じゃないの?」
「俺も有休」
正直誰とも会いたい気分ではないし、外に出かける気力もなかった。どうやって断ろうか、なんて失礼なことを考え始めていたとき「実はもう下にいるんだけど」と言われて、スマートフォンを落としそうになる。
「………ええっ!?」
ベッドから飛び起きて、昨日から閉め切っていたカーテンを開けると真昼の日差しに一瞬目が眩む。
窓から下を覗くと、こちらを見上げて手を振っている有働くんがいた。