新堂さんと恋の糸
「どうしたの急に……付き合ってほしいことってなに?」
「実は別件の仕事で風景写真撮るように頼まれててさ。ほら、櫻井って新堂さんのところで一眼レフ使うようになってから、カメラの知識もあるだろ?」
「えーっと、それはつまりアシスタント代わりっていうこと?」
「まぁそんなところ」
この近くにある都立公園で撮りたいのだという。春には桜の名所としても有名で、普段から緑も多くて私も休日にはふらりと散歩に行くこともあるけれど。
「わざわざ私に頼まなくても、週末に彼女さんとデートがてら行けばいいのに」
「別れた」
「……えっ?」
「だから別れたって言ってんの」
「う、嘘、なんで、いつ!?」
淡々としている有働くんとは対照的に、私は驚きすぎて声が上擦ってしまう。
「少し前、って言ってももう1ヶ月半くらい経つか」
学生の頃から付き合ってて、遠距離を乗り越えて同棲もしていて。絵に描いたような少女マンガカップルだと思っていたのに。
「ええ……なんかすごいショック」
「なんで櫻井がショック受けんの?まぁそういうわけで、彼女もいないし東京に友達もいないし、付き合ってくれそうなのが同期の櫻井しか浮かばないわけ」
「こんなときばっかり同期って……!」
いつもは『同期じゃないけどな』って言うのに。
けれど、今日このまま家で何もせず過ごすのも不健康な気もする。外の空気を吸ういい口実になるかもしれないと思って、私は有働くんの提案に乗ることにした。
「実は別件の仕事で風景写真撮るように頼まれててさ。ほら、櫻井って新堂さんのところで一眼レフ使うようになってから、カメラの知識もあるだろ?」
「えーっと、それはつまりアシスタント代わりっていうこと?」
「まぁそんなところ」
この近くにある都立公園で撮りたいのだという。春には桜の名所としても有名で、普段から緑も多くて私も休日にはふらりと散歩に行くこともあるけれど。
「わざわざ私に頼まなくても、週末に彼女さんとデートがてら行けばいいのに」
「別れた」
「……えっ?」
「だから別れたって言ってんの」
「う、嘘、なんで、いつ!?」
淡々としている有働くんとは対照的に、私は驚きすぎて声が上擦ってしまう。
「少し前、って言ってももう1ヶ月半くらい経つか」
学生の頃から付き合ってて、遠距離を乗り越えて同棲もしていて。絵に描いたような少女マンガカップルだと思っていたのに。
「ええ……なんかすごいショック」
「なんで櫻井がショック受けんの?まぁそういうわけで、彼女もいないし東京に友達もいないし、付き合ってくれそうなのが同期の櫻井しか浮かばないわけ」
「こんなときばっかり同期って……!」
いつもは『同期じゃないけどな』って言うのに。
けれど、今日このまま家で何もせず過ごすのも不健康な気もする。外の空気を吸ういい口実になるかもしれないと思って、私は有働くんの提案に乗ることにした。