新堂さんと恋の糸
「さて、まずはどこから片付けよう…」
ぐるりと部屋を見渡して、まずは床に散らばった紙の束を拾うことにした。
そうしないことには本当に足の踏み場もなくて、身動きが取れない。
床にしゃがみ込んで一枚ずつ拾い集める。
「……あ、これ全部デザイン画なんだ」
少し変わった形のグラスのラフスケッチにメンズ用化粧品のパッケージ、レストランの内装設計もある。手書きのラフ画から、パソコンソフトで緻密に再現されたものまでさまざまだった。
(待って、ボツ案をシュレッダーにかけるっていうことは――ここにあるものは全部ボツ案ということ?)
「嘘、もったいない…」
ざっと見ただけで数十枚……いや、もっとある。
これらにかかった労力を思うと気持ちが沈む作業だ。正直、やりたくない。自分の企画案を捨てるときですらガックリするのに、自分以外の――あの新堂さんが生み出したものだと思えばなおさらだった。
(シュレッダーをかけるのは、また後にしよう)
拾い集めた分はテーブルの上にひとまとめにして、丸められた紙くずはゴミ箱に捨てる。
そうしてようやく床は綺麗になった。
次は、本棚の整理に取りかかる。
CG系の参考書や画集、コンセプトアート、風景系の写真集。
ジャンルもサイズもバラバラで、棚の中で平積みされて背表紙が見えないものもあり分かりづらい。
「私も几帳面な方じゃないけど、さすがにこれは……」
私は手近な棚からジャンル別に仕分けることから始めることにした。
「お、重い……!!」
棚から取り出すたびに床が埋まっていく。
写真集やアート集などの本は、上質紙で表紙もハードで重厚な物が多いのでとにかく分厚くて重い。ようやく棚の一角を空にできたときには、息が切れ、腕がぷるぷる震えていた。
そのとき、スマートウォッチのアラームが鳴る。
時間は十七時。もうそろそろ帰らないといけない。
(嘘、二時間でこれだけ……?)
ぱっと見はほぼ変わっていないどころか、来たときより散らかって見えるのが悲しい。
(これ、本当に終わるのかな…)
私は明日からの作業に思いを馳せて、少し遠い目になった。
ぐるりと部屋を見渡して、まずは床に散らばった紙の束を拾うことにした。
そうしないことには本当に足の踏み場もなくて、身動きが取れない。
床にしゃがみ込んで一枚ずつ拾い集める。
「……あ、これ全部デザイン画なんだ」
少し変わった形のグラスのラフスケッチにメンズ用化粧品のパッケージ、レストランの内装設計もある。手書きのラフ画から、パソコンソフトで緻密に再現されたものまでさまざまだった。
(待って、ボツ案をシュレッダーにかけるっていうことは――ここにあるものは全部ボツ案ということ?)
「嘘、もったいない…」
ざっと見ただけで数十枚……いや、もっとある。
これらにかかった労力を思うと気持ちが沈む作業だ。正直、やりたくない。自分の企画案を捨てるときですらガックリするのに、自分以外の――あの新堂さんが生み出したものだと思えばなおさらだった。
(シュレッダーをかけるのは、また後にしよう)
拾い集めた分はテーブルの上にひとまとめにして、丸められた紙くずはゴミ箱に捨てる。
そうしてようやく床は綺麗になった。
次は、本棚の整理に取りかかる。
CG系の参考書や画集、コンセプトアート、風景系の写真集。
ジャンルもサイズもバラバラで、棚の中で平積みされて背表紙が見えないものもあり分かりづらい。
「私も几帳面な方じゃないけど、さすがにこれは……」
私は手近な棚からジャンル別に仕分けることから始めることにした。
「お、重い……!!」
棚から取り出すたびに床が埋まっていく。
写真集やアート集などの本は、上質紙で表紙もハードで重厚な物が多いのでとにかく分厚くて重い。ようやく棚の一角を空にできたときには、息が切れ、腕がぷるぷる震えていた。
そのとき、スマートウォッチのアラームが鳴る。
時間は十七時。もうそろそろ帰らないといけない。
(嘘、二時間でこれだけ……?)
ぱっと見はほぼ変わっていないどころか、来たときより散らかって見えるのが悲しい。
(これ、本当に終わるのかな…)
私は明日からの作業に思いを馳せて、少し遠い目になった。