二次元彼氏がいるのでリアルな恋は遠慮します
「そうですか、残念です。芳野さんの寝顔、また見たかったのに」
「もしかして、さっき見てたの!?」
「見ますよね、普通」
「普通じゃないと思うけど……!」
「ふっ、焦りすぎです」
口元を緩めて笑う彼に、不覚にもどきりとしてしまう。
普段、笑った表情を見ることがないからだろうか。
控えめではあるものの楽しそうな表情を浮かべる彼に、私はつい見惚れてしまった。
「なんです? 俺の顔に、何かついてますか?」
「い、や……ついてないです、大丈夫です」
それからの桐島くんは、相変わらずの無表情かつ無口になってしまった。
だけど、不思議と居心地の悪さは感じない。
車窓から差し込む街灯によって一瞬照らし出される彼の横顔は作り物のようで、なんだか私の知る彼ではないような気がした。
――本当に、私のことを……、桐島くんが……。
いまだに信じられない気持ちを抱えながら、私も彼から視線をそらし、窓の外を眺める。
そうして、たっぷりと時間をかけてタクシーに揺られた私は、再び眠気に負けそうになったところで運転手に声をかけられた。
「このマンションであってますかね?」
「……あっ、はい! ここです」
ありがとうございますとお礼を告げ、鞄から財布を取り出す。
だけど、桐島くんは大丈夫だから、と財布を引っ込めるように手で制した。
「もしかして、さっき見てたの!?」
「見ますよね、普通」
「普通じゃないと思うけど……!」
「ふっ、焦りすぎです」
口元を緩めて笑う彼に、不覚にもどきりとしてしまう。
普段、笑った表情を見ることがないからだろうか。
控えめではあるものの楽しそうな表情を浮かべる彼に、私はつい見惚れてしまった。
「なんです? 俺の顔に、何かついてますか?」
「い、や……ついてないです、大丈夫です」
それからの桐島くんは、相変わらずの無表情かつ無口になってしまった。
だけど、不思議と居心地の悪さは感じない。
車窓から差し込む街灯によって一瞬照らし出される彼の横顔は作り物のようで、なんだか私の知る彼ではないような気がした。
――本当に、私のことを……、桐島くんが……。
いまだに信じられない気持ちを抱えながら、私も彼から視線をそらし、窓の外を眺める。
そうして、たっぷりと時間をかけてタクシーに揺られた私は、再び眠気に負けそうになったところで運転手に声をかけられた。
「このマンションであってますかね?」
「……あっ、はい! ここです」
ありがとうございますとお礼を告げ、鞄から財布を取り出す。
だけど、桐島くんは大丈夫だから、と財布を引っ込めるように手で制した。