二次元彼氏がいるのでリアルな恋は遠慮します
「でも……」
「俺、このあとも乗って行きますし」
「だったら、なおさら悪いよ。そもそも、桐島くんが電車を降りれなかったのは私のせいだし」
「そうですね。芳野さんのせいです」
「うっ……」

 この数時間ほどのやり取りで知ったのは、案外桐島くんは言葉をオブラートに包まず、ストレートに伝えてくるということだ。
 密かにダメージを受けていると、その代わり、と彼が私の指先に軽く触れた。

「今度でいいので、さっきの返事、聞かせてください」
「……」
「ちゃんと、考えておいてくださいね」

 ――俺のこと。

 そう恥ずかしげもなく告げて、手を解放される。

 私は逃げるようにタクシーから降りると、車内に残る桐島くんの顔を一切見ずに、マンションのエントランスに駆け込んだ。

「あぁ、もうっ、調子が狂う……!」

 我ながら大人げない態度を取ってしまったと反省しながら、赤くなった頬を手でパタパと扇いで熱を冷ます。

 予定よりもかなり遅い帰宅になった私は、おざなりに靴を脱ぎ捨てると、そのままベッドに直行した。

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