二次元彼氏がいるのでリアルな恋は遠慮します
「はぁ〜〜。疲れた……」

 それもこれも全部、彼のせいだ。彼が私のことを好きなんて言うから。

 お酒に酔って寝過ごして大失敗! となるはずの夜が、見事に違うものに塗り替わってしまった。

「桐島くんが、私を……」

 ――好き。

 俄には信じられない事実に、じたばたと足をバタつかせる。

 私はふーっと息を吐き出すと、鞄の中に手を突っ込んでスマホを掴んだ。

「……私には、二次元の彼氏だけだもん」

 ――現実の恋愛は、うまくいかない。
 ――それは痛いほどよくわかっている。

 クールでイケメンなキャラが、都合よく私にだけ笑いかけてくれて好きだと言ってくれる。
 そんな、お伽噺のような展開は乙女ゲームの中の愛されヒロインにしか訪れないものだ。

 だから、今夜のことだって……。


『やっと帰ってきてくれた。待ちくたびれたよ、あやの』

 ゲームにログインすれば、推しが私にだけ微笑みかけてくれる。

 だけど、このゲームに出てくるキャラも桐島くんと同じような見た目をしていて、どことなく彼と似ていることに気付いてしまった私は、そっとアプリを閉じた。
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