二次元彼氏がいるのでリアルな恋は遠慮します
 ――やっぱりこの前の告白は幻だったんじゃ……。

 そんなことを思いながら、コーヒーカップを手に持って給湯室に向かう。

 生憎、給湯室には誰もおらず、私は社員であれば無料で使えるコーヒーメーカーにポーションをセットすると、ポケットからスマホを取り出した。

 この僅かな時間にログインするのは、言わずもがな何年も推してやまない夢見蒼空がいる乙女ゲームだ。

 この乙女ゲームは学園が舞台のストーリーで、アイドルを目指すキャラクターたちが寮生活を通してデビューを目指すゲームになっている。
 メインストーリーに加え、リズムゲームやキャラクターとの親密度を上げるためのミニゲームなどもあって、長年プレイしていても飽きない作りになっていた。

 特にキャラクターをホームに設定すると親密度が上がる設計になっていて、キャラをタップするたびに親密度が蓄積されるようになっている。

 なお、親密度が上がるとキャラクターのボイスも変わる。
 夢見蒼空の親密度は現在最高になっているが、アップデートのたびにその上限値が引き上げられるため、やり込み要素が強かった。
 だから、せっせとログインしては画面タップという名のナデナデをして親密度を上げねばならない。

 私はテキストで流れてくるセリフを読んではニマニマと頬を緩めた。

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