二次元彼氏がいるのでリアルな恋は遠慮します
「あー……。癒される……」

 クールで他人に靡かず、ニコリともしない蒼空くんが私にだけ微笑みかけてくれる。
 これで落ちない人がいたら、心が固い石でできているに違いない。
 こんなにも私のことだけを好きでいてくれるのだ。それだけで心が満たされる。

 やっぱり二次元彼氏万歳! と心の中でガッツポーズしていると、入り口の方から靴音が聞こえてきた。

「あっ」

 振り返れば、いま一番顔を合わせたくない人が立っている。
 彼は淡々とした声でお疲れ様ですという挨拶だけ投げると、持っていた青いマグカップを置いて私の隣に立った。

「…………」
「…………」

 ……気まずい。
 そう思っているのは私だけかもしれないけれど、とにかく気まずい。

 だって彼の顔を見ていると、意識せずともこの前の夜を思い出してしまうのだ。

『冗談ではないですね。ずっと、芳野さんのこと狙ってたんで』
『わかりませんか? 眠っていたあなたに肩を貸したのも、こうして知らない駅までついてきたのも、芳野さんのことが好きだからですけど』

 彼から告白された瞬間を思い出して、私はやわく下唇を噛んだ。

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