二次元彼氏がいるのでリアルな恋は遠慮します
「芳野さん、もうコーヒー入ってますよ」
「う、うん……」
「どうしたんです? 下ばかり見て。……あ、もしかして、この前の夜のこと、思い出しちゃいましたか?」

 図星を差されて、勢いよく顔を上げる。
 だけど、すぐに顔を上げたことを後悔した。

「ふっ……ははは。顔、真っ赤」
「ちがっ、これは、ちょっと暑くて……!」
「暑い? 今日はむしろ寒いぐらいですけど」
「っ……」
「俺のこと、意識してるから……ですよね?」

 赤く染まった顔を覗き込むように首を傾げられて、近くなった距離に息を詰める。

 そのとき持っていたスマホを落としそうになって、慌ててキャッチした。

「それ……」
「ん……?」
「この前もしていたゲームですよね。それが二次元彼氏、ってやつですか?」

 彼がスマホ画面に映る蒼空くんを一瞥して、つまらなそうに呟く。
 すぐにスマホを伏せたけれど、スマホを睨む彼の目は鋭いままだった。

「絶対に、ゲームよりも俺といるほうが楽しいって思わせますから」
「はい……?」
「だから、俺とデートしてください」

 会話の脈絡もなく、突然ずいっと大きな体で迫られて、思わず体を引く。

 桐島くんは背が高い。だから距離を詰められると、見上げるのに背中と首がしなった。

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