二次元彼氏がいるのでリアルな恋は遠慮します
「うそ……。なんで桐島くんがここに……? っていうか、桐島くんの最寄り駅ってここだっけ!?」
「いえ、違いますよ。最寄り駅は随分と前に通り過ぎてしまいました。ただ、あなたが気持ちよさそうに眠っていたので」

 ――俺の肩で。

 そう淡々と告げられて血の気が引く。
 私はおろおろと視線を彷徨わせると、ぴょんと驚いて飛び退く猫のように桐島くんから距離を取った。

「ご、ごめんなさいっ!!」
「いえ、別に。というか、ちゃんと座っていないと危ないですよ」
「え……? うわあっ!」

 電車が大きく揺れて、桐島くんの肩に顔面ごとダイブする。ぶつかった鼻先がじんと痛むも、すぐに桐島くんから離れた。

「あ……あぁ……。スーツにファンデーションが…………」

 同じことを繰り返し話すオウムのように、ごめんなさいごめんなさい! と謝りながらファンデーションの粉を手で払う。

 桐島くんは嫌がるでもなく、だからといって大丈夫だと断るでもなく、ただ私のことをじっと見下ろしていた。

 ――うぅ……。私、彼のこの無表情、苦手なんだよね……。

 温度の感じない、冷たい視線に居心地の悪さを感じて俯く。

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