二次元彼氏がいるのでリアルな恋は遠慮します
 私の笑い声に同調してにこやかな笑顔で給湯室に入ってきたのは、桐島くんと同じ開発チームに籍を置く依田(よだ)さんだった。

 彼は、私にとっても桐島くんにとっても先輩にあたる。
 桐島くんとは正反対の性格をしていて、気さくで陽気な先輩だった。

 そんな彼のもとで、桐島くんは業務にあたっている。凸凹コンビだと言われるのも納得のいく二人で、雰囲気も性格も真逆だった。

「コーヒー淹れに来たのに、コーヒーカップ忘れるとかウケる」
「…………」
「な〜に? 芳野ちゃんと楽しくお喋りしてたの? 珍し〜」

 ぽんと桐島くんの肩に腕を置いて手元を覗き込む依田先輩に、彼が冷たい視線を向ける。
 仮にも先輩であるのに、桐島くんの態度はどこまでも必要最低限のものだった。

「別に。ちょっと立ち話していただけです」
「それが珍しいんじゃん。いっつも、会話に入ってこないのに〜。その割には飲み会とかはちゃんと来るの、律儀だよね」
「だって、ほぼタダ飯できるじゃないですか」
「ま〜ねぇ。うち、親睦会とかにはお金でるから」

 ちゃっかりしてんねぇ、と依田先輩が桐島くんの背を叩く。
 セクハラと暴力ですよ、と静かに詰める桐島くんに、二人のやり取りを見ている私の方がヒヤヒヤした。

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