二次元彼氏がいるのでリアルな恋は遠慮します
 いつもは違うゲームセンターへ行くため、ここには来たことがない。

 私はぐるりと周囲を見渡すと、心の中でキャッキャッと騒ぎ立てる。

 いつも行くところよりも台が充実している。
 景品も潤沢にあるため、ぬいぐるみ以外の景品も狙えそうだった。

「私、ちょっと両替してくるね!」
「わかりました」
「あ、桐島くんもなにか好きなのあったら取ってきていいから!」

 すっかりデートであることを忘れてお札を両替機で崩し、百円玉を手にお目当てのクレーンゲームに戻る。
 桐島くんは他の台へ行くこともなく、じっと蒼空くんのぬいぐるみを眺めていた。

「どうしたの? 桐島くんも蒼空くんのぬいぐるみ欲しい?」
「いえ、大丈夫です。そもそも、そのゲーム、あまり知りませんし」
「そうだよね。ていうか、桐島くんはどんなゲームするの?」

 百円玉を入れ、クレーンゲームのボタンやレバーを操作しながら尋ねる。
 桐島くんはクレーンゲームの爪の先を見つめながら、「もうちょっと右」と言って、私の手の上からレバーを握った。

「っ……!」

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