二次元彼氏がいるのでリアルな恋は遠慮します
 びっくりしすぎて、余計にレバーを押し込んでしまい、クレーンの爪が別のところに引っかかる。
 桐島くんは私から手を離さないまま、すみません、と謝った。

「そううまくはいかないですね」
「………」
「芳野さん?」

 横から顔を覗き込まれて、恥ずかしさのあまり俯く。

 こんなに近いと、まるでカップル同士で遊んでいるみたいだ。
 口には出さないまま脳内であわあわとパニックになっていると、彼がさらに私の手をギュッと握った。

「忘れているみたいなのでもう一度言いますけど、これ一応デートですからね」

 追い打ちをかけるようにそう告げられて、ぼんと顔から火が噴きそうになる。
 静かになった私を見て桐島くんは満足したのか、やっと私から手を離してくれた。

「俺も両替してきます」
「……う、うん」

 気恥ずかしさを誤魔化すようにお金を入れ、再びレバーを握る。
 それから何度かトライしてみたけれど、ぬいぐるみは取れなかった。
 それどころか、どんどん奥へと行っているような気がする。

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