二次元彼氏がいるのでリアルな恋は遠慮します
 元々、クレーンゲームはあまり得意ではない。
 推しのグッズを集めたいからやっているだけであり、ゲームの腕は人並みか、それ以下だった。

「もう二千円ぐらいはつぎ込んでるのに……」

 なかなかクレーンの爪が引っかからず、入り口まで持ってくる前に景品が転がり落ちてしまう。

 あの手この手でレバーを操作しながら頑張っていると、桐島くんが戻ってきた。

「それ……」
「あぁ、そこの台で取ってきました」

 彼が手にしていたのは、スーパーで売っているものよりも大きいサイズのお菓子で、チョコレートの写真がでかでかと載っている。
 私が小さなぬいぐるみと格闘している間、彼はさくさくと景品をゲットしていたなんて……と悔しく思う気持ちと、自分のゲームセンスの無さに落ち込んだ。

「まだ取れないんですか?」
「それどころか、奥にいってる……かも」

 虚しく台の中で転がる推しに切なさすら感じる。
 桐島くんは私にお菓子の箱を押し付けると、代わりに彼がコイン投入口にお金を入れた。

「少しずつ手前に引っ張れば落ちそうですけどね」

 それができれば苦労しないと恨めしい目で彼を見る。
 彼は器用に爪でタグを引っ掛けると、手前側にコロンとぬいぐるみを落として引き寄せた。

「おぉ!」
「あとは、うまく掴めば取れそうですね」
「本当に? ここからが案外長いかもよ?」

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