二次元彼氏がいるのでリアルな恋は遠慮します
「な、なに……?」
「いえ、少し妬けるなと思っただけです。どうぞ、たくさん可愛がってあげてください」

 表情こそ変わらないものの、不貞腐れたような声でそう言われてしまうと愛でづらい。
 それでもやっと自分の手元にやってきた推しを手放せずにいると、桐島くんがフッと笑った。

「芳野さん、本当にそのキャラのこと、好きなんですね」
「わ、笑わないでよ……! ずっと推し続けてきたんだから、仕方ないでしょ」
「わかってますよ。あなたの愛情、伝わってきますから」

 頬杖をつき、こちらを見つめる桐島くんの目が柔らかくなる。
 桐島くんは私の手元に視線を移すと、手を伸ばしてツンと蒼空くんの頭を軽くつついた。

「彼の、どんなところが好きなのか、俺に教えてください」
「蒼空くんの、好きなところ……?」
「はい。芳野さんが好きなものは、俺もちゃんと知っておきたいです」

 蒼空くんからそっと手を離し、私の顔を真っ直ぐに見つめる。

 本当に推しの話なんて聞きたいのかと半信半疑だったけれど、しっかりと相槌を打って話を聞いてくれる彼の姿勢に調子づいた私は、蒼空くんの推しポイントについて、これでもかと語り尽くした。

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