二次元彼氏がいるのでリアルな恋は遠慮します
「っ……!」
「大丈夫ですか?」

 すぐに桐島くんに抱きとめられて、事なきを得る。
 だけど、思いのほか密着していることに気付いて、ごくんと息を呑んだ。

「あ、ありがとう……」
「いえ」

 あっさりと離れていく熱が、名残惜しい。
 そんなふうに思うのは、底冷えする夜だからだろうか。

 きっとそうに違いないと、芽生え始めた気持ちに見て見ぬふりをした。

「そうだ、忘れないうちに連絡先、聞いておきたいんですけど」

 二人で改札を抜け、ホームへ続く階段を上がっている途中で桐島くんに切り出される。
 ここで教えない理由も見つからなかった私は、電車を待つ間に桐島くんと連絡先を交換した。

「アイコン、猫なんだね」
「実家で飼ってる猫です。もう結構、老体なんですけど」
「へぇ、可愛いね」

 他愛もない話をしながら、やってきた電車に乗り込む。
 既に満員だったところに、さらに乗り込む形になってしまったため、後ろからぎゅうぎゅうと押された。

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