二次元彼氏がいるのでリアルな恋は遠慮します
◇
「お疲れ〜! 芳野ちゃん」
「あ、お疲れ様です……!」
次の日、新規案件の打ち合わせにやってきたのは桐島くんと依田さんだった。
開始時刻よりも十分ほど早く会議室にやってきた彼らに驚きつつも、用意した資料をテーブルに置いていく。
桐島くんは会議室に入るなりペコリと頭を下げると、すぐに私のところへ来てくれた。
「お疲れ様です。資料の準備、手伝います」
「ありがとう! てか、みんなに声かけてくれて、ありがとうね」
「いえ、それぐらい大したことないですよ。まぁ、直前だったので、結局依田さんしか捕まらなかったんですけど」
本来であれば、依田さんや桐島くんの他にも開発チームの後輩たちが来てくれる予定だったらしいが、私のやらかしによって都合がつかず、来れなかったらしい。
申し訳ないことをしたな……とため息をつけば、気にしないでください、と桐島くんがフォローを入れてくれた。
「今回のメイン担当は俺なので。関係者にはしっかり伝えておきます」
「うん。ありがと」
桐島くんが頼もしく思えて、ほっと胸を撫で下ろす。
そうして二人で資料の準備を進めていると、会議室に入ってからやけに静かな依田さんに、じーっと見つめられていることに気付いた。
「あっ、すみません。依田さんの資料、まだでしたね」
「うん、ありがと。てかさ、二人って――……」
依田さんがなにか言いかけたとき、会議室の扉が開く。
ほぼ定刻通りにやってきたデザイナーやディレクターたちが入ってきて、すぐに会議室が賑やかになった。