二次元彼氏がいるのでリアルな恋は遠慮します
「おーい、芳野ちゃーん」
「菖蒲? 大丈夫?」

 ゆさゆさと同期から肩を揺すられて、なんとか顔を上げる。
 だけど、周りの視線を認識した瞬間、私は恥ずかしさのあまりバンッとテーブルに手をついた。

「わ、私には!! 二次元彼氏だけですから!!」

 いままでも、これからだって、私には二次元彼氏のみだ。
 ずっと一途に二次元に恋してきたのだから。
 だから、みんなに囃し立てられようが、どれだけアプローチを受けようが、私には――……。

「……っ」

 ちらりと桐島くんの顔を窺って後悔する。
 周りの人たちからは、いつもと変わらず能面のように見える彼の表情。だけど、私はもう彼の些細な表情の変化を見つけられる。
 
 明らかに彼が落ち込んでいるのがわかって、私はきゅうっと胸の奥が痛くなった。

「……なーんだ、やっぱり菖蒲はそうだよね」
「むしろ、通常運転って感じ」
「あー……、なんか俺らだけで盛り上がっちゃった感じ? ごめんね、二人が話してるところをよく見かけるからさ〜」

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