二次元彼氏がいるのでリアルな恋は遠慮します
「う、そ……。きりしまくん……? なんで……?」
「芳野さん、今日もかなり酔っていたから追いかけたんですよ。まぁ、なんとか同じ電車に乗れたのはいいものの、人が多くてなかなか近づけなかったんですけど」

 彼が深く椅子に腰掛け、ふーっと息を吐く。

 桐島くんのことを傷つけたばかりだというのに、わざわざ私を心配して追いかけてくれた彼に、申し訳ない気持ちになった。

「……ごめんね。心配してくれて、ありがとう」
「いえ、俺が好きでしているだけですし。あなた、いつもフラフラになりながら電車に乗るから心配なんですよ」
「いつも、って……。もしかして、この前の夜も追いかけてくれたの……?」

 そう尋ねれば、桐島くんがこくりと頷いた。

「タイミングが合うときはなるべく。最初はただ、同じ方向だな、って思ってあなたのこと見てたんですけど」
「うそ……! 気付かなかった」
「でしょうね。芳野さん、いつもゲームしてましたし」
「そんなところまで見られてたの……。声をかけてくれたらよかったのに……」
「同じ部署とはいえ、チームも違う後輩ですし、なにより芳野さんが楽しそうにゲームしているところを見るのが好きだったので。だからあえて、俺からは声を掛けませんでした」
「じゃあ、どうして……」

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