恋するお弁当箱
「中に入っていたものは無事でしたか?」
「開けることはできなかったみたいで、大丈夫です」
 その後、課長と一緒にロッカールームに行き、中の女性たちに断ってから課長が入る。破壊されたロッカーの写真を撮り、課長は言う。

「明日は別の空きロッカーを使ってください」
 予備のロッカーのカギを渡され、破壊されたロッカーの鍵は課長に渡した。

 帰宅した咲穂は、もやもやした気持ちでミャミャーのお弁当箱を水にひたす。
 せっかく手に入れたお弁当箱だが、樹絵里がいる間は使わないほうがいいだろう。
 わざわざ返してくれたのに、賢翔に悪いことをした気がしてしまう。
 咲穂はため息をつき、晩御飯の準備を始めた。

***

 翌日、樹絵里はいつも通りに出勤した。
 この会社に派遣されて二ヵ月になろうとしているが、相変わらずこの会社は自分の価値をわかっていない。

 庶務として配属されるのはわかっていたが、最初の予想では、すぐに会社は自分のクリエイティビティに気が付いて配置換えとなるはずだった。

 だが、上司も同僚もまったく樹絵里の才能には気が付かない。それどころか、コピーだの資料作成だの、誰でもできそうなことを頼んでくる始末だ。
 だから「こんなのは私の仕事じゃない」と抗議した。が、言われた仕事をするようにと注意されて不快だった。

 今日も席につくとノートパソコンを立ち上げる。
 そういえば、あのお笑い芸人の不倫ってどうなったんだっけ。
 そう思ってネットで検索すると、すぐに結果が表示された。
 朝礼の時間までそれを見て時間をつぶした。
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