恋するお弁当箱
「狭いところがダメって嘘じゃん。ここまで来てるんだし、ほんっとうに静谷さんって性格悪いですよね」
「は?」
 思わず聞き返していた。

「ロッカーが少しへこんだくらいで課長に言いつけたり。お弁当箱くれなかったり。どうしてそんなに意地悪なんですか?」
 咲穂は唖然とした。呼び出されたのは謝罪のためだったはずなのに、なんだかまったく見当違いなことを言われている。

 樹絵里は、ふん! と鼻を鳴らしてドアに向かう。
「反省するといいですよ」
 樹絵里は部屋を出ると、外からがちゃっと鍵をかけた。

「なにするの!?」
 内側から鍵を開けようとするが、鍵が回らない。
 どうして、と思うが鍵が解錠できないから扉も開かない。

「やめて、開けて! 高壺さん!」
 叫んでも返事がない。

「誰か!」
 咲穂はドアをどんどんを叩くが、どこからも誰からも返事はない。
 どうしよう、と部屋を見た咲穂の心臓がどきんと大きく鳴った。
 薄暗く埃っりぽい部屋、物に溢れていて圧迫感がある。

 閉じ込められた。

 その単語だけが頭の中を巡る。
 落ち着け、スマホがあるんだから。
 震える手でスマホの画面を見ると圏外になっていた。
< 33 / 45 >

この作品をシェア

pagetop