恋するお弁当箱
4 お弁当
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仕事用のタブレットからデータをノートパソコンに移し、賢翔はふうっと息をついた。
頭に浮かぶのは咲穂の優しい笑顔。
初めて会ったときには、親切な人がいるものだ、と感心した程度だった。
止まってしまったエレベーターで再会したときには驚いた。
閉所恐怖症だと知って大丈夫かと心配になったが、自力で対処しようとするけなげさに心を打たれ、守ってあげたい気持ちがひしひしと胸に沸いた。
恐怖に震えるはずだった時間を自力で楽しい時間に変える胆力は素晴らしい。
お弁当箱を集めるのが趣味、というのが面白い。弁当箱なんてただの道具としか思っていなかったから、あれを収集するというのは珍しかった。確かにいろんなものがあるから集めるのは楽しいだろう。
彼女の気づかい、笑顔、すべてに心惹かれる。
少し強引だった誘いにも応じてくれたのは、憎からず思ってくれているのだろうか。
そう思っていたときに、パソコンからぴぴっとアラームが鳴った。
画面にメッセージが出ていて、それを見て眉を上げた。
ハヤマ食品で使用しているロボット掃除機から届いたエラーだった。なんど直しても特定の通路でエラーを起こす原因を突き止めるべく、異常が出たときには自動でメッセージが送られるようにしていたのだ。
ハヤマ食品の業務時間は過ぎている。が、庶務課の課長には、異常があり次第かけつける旨、約束を交わしている。だから彼のスマホに直で電話をかけ、すぐに向かうと連絡した。
バックアップを終えたばかりのタブレットを持ち、エレベーターでハヤマ食品のあるフロアに降り、受付で名乗る。