恋するお弁当箱
 咲穂に会えないものかと思ったが、事務フロアには彼女の姿は見当たらなかった。
 課長とともにロボット掃除機が異常を出しているポイントに向かう。
 と、そこは前回も挟まっていた通路だった。

 彼はまず、タブレットでロボット掃除機に指令を出してみた。が、それはモーター音を出すだけで前にも後ろにも進むことがない。
 通路に入り、ロボットを手前に引いてみると、すぐにひっかかりが取れてロボットは自走を始めた。賢翔が通路に出ると、ロボットも通路に出て来る。

「カメラの映像を確認してみます」
 賢翔はロボット掃除機にタブレットを接続し、記録された映像を課長と一緒に見る。
 途中、咲穂らしき女性がロボット掃除機を追い越して魔の通路に入っていくのが見えた。
 しばらくしたら別の女性が大写しになる。

 彼女を避けようとしたロボット掃除機は、しかし彼女がことごとく進路を妨害するため、後退を始める。
 その後、通路に入り込んで動けなくなってエラー信号を発していた。かろうじて電波が入る位置だったため、エラー信号が賢翔のパソコンに届いたらしい。

 賢翔はその女性に見覚えがあった。彼女はさきほどまで確認していた過去映像にもなんども映り込み、ロボット掃除機をこの通路に追い込んでいた。

「この女性、何度も進路を妨害していた記録がありますね」
「高壺さん、なにしてくれてんだ」
 課長がため息まじりに言う。

 映像を続けて見た賢翔は再び違和感を持った。
 咲穂がロボット掃除機を追い抜く様子は映っているが、そのままロボットが魔の通路に挟まっている。咲穂はどこへ行ったというのか。
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