恋するお弁当箱
 AIを知ってからは書類作成をAIに丸投げしてノーチェックで返してくるから、咲穂たちの手間が増えた。いっそなにもしないでくれと思うが、仕事だからそういうわけにもいかない。なるべく簡単な仕事を回すが、それもまた不満につながっているようだ。

 課長に苦情が殺到し、彼女は呼び出しをくらって注意を受けたが、それでも言動はあらたまらない。
 咲穂には特にほかの社員よりも強く執着していて、ちょくちょくからんでくる。
 課長もあきれていて、期限が来たらそのまま打ち切る予定だと言っているから、それまでの我慢だ。



 お昼休みになったら莉子に声をかけた。
「そろそろいこっか」
「ごめん、あとちょっと。いつもの公園のベンチだよね。先にいって場所取りしてて」
「わかった」
 パソコンに向かう莉子を置いて、ランチの入ったバッグを手にフロアを出る。

 通路を通ってエレベーターホールに行く。と、すぐについたカゴがあり、そこにいた人たちがわらわらと乗り込んだ。
 これには乗れなさそうだな。
 咲穂は無理せず待ち、次に開いたカゴに乗り込んだ。

 中には男性がひとり、ガラスのほうを向いて立っていた。
 一階がすでに押されているのを確認し、閉まるを押して自分も窓の外を見た。

 エレベーターが動き出した直後。
 がくん、と揺れてカゴが止まった。

「え!?」
 思わず声が出る。
 階数表示を見ても、数字が動かない。
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