魔力を固めると箱になるんだもん
 これを見た幼馴染のバジルに、前すっごくバカにされたんだよね。
 それでムカついたあたしは、試行錯誤で魔力をこねくり回したのだ。

「でね、色々試した結果、魔力を箱型にすることにしたの」
「箱……」
「これ面白いんだよ。ほら、こんな風に他の魔力を入れることが出来るの」
「入れる……」

 お父さんもラベンダーさんも、なんか片言しか話せなくなってるよ。そんなに変かな?

「たとえばお父さんの水魔法の塊を入れると――はい、綺麗に収まりました」
「はっ?」

 丸い魔力の塊って、この箱に入れるときちんと収まるんだよね。水だからかと思ったんだけど、他の魔力でも同じだった。

「これ、便利じゃない? たとえばさ、水の適正ゼロの人のところへ、水魔法の塊を渡すこともできるんだよ? 火魔法使えない人に火魔力入れて渡せば、一人でも火を起こせるとか。――変、かな?」

 自分以外の魔力を運べるってあたしはアリだと思ったんだけど、やっぱり魔法適正ゼロ判定になっちゃうのかな。それはそれで別にいいけど。お隣のお姉さんは魔力ほぼゼロでも優秀な染め物士だし、そういう道もアリだよね。

 そんなことを考えながら、呑気にあくびをかみ殺していたあたしは知らなかった。

 この魔法が、やがて箱魔法と呼ばれることを。


 数年後。

「ミント・グリージャ。西の都にいる老治癒士の元へ行き、光魔法を君の箱に入れて持ち帰ってくれ」

 病弱な王女様のために、そんなとんでもない依頼を受ける羽目になるなんて、このときのあたしは夢にも思わなかったんだよねぇ……。

< 4 / 4 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

星降る夜に、あの日のキスをもう一度

総文字数/131,185

ファンタジー126ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
他サイトのタイトルは 「転生するたび短命でしたが、今世では40歳の誕生日を迎えられそうです ~過去に2度も求婚されかけていたって――えっ? 嘘でしょう?~」。 魂に刻まれた呪いで、どんな世界に生まれても二十歳前後で悲惨な死を遂げてきたアンジェラ。 今世では奇跡的にも40歳の誕生日を迎えられようとしていたある日、幻視の魔法で姿を偽り、家庭教師の代理として学生時代の知人コンラッドの屋敷を訪れる。 しかしその屋敷ごと異世界に転移。そこは前前世の自分が、勇者と旅をし非業の死を遂げた世界だった。 勇者の子孫として召喚されていた教え子とも再会。彼らを無事帰すことこそが今世の使命だと思うアンジェラ。 しかし彼女は気づいていなかった。 コンラッドの娘がアンジェラとパパを結婚させようと計画していたことを。 そして、何度も違う姿で出会い恋した相手がすべて同じ人だったことを。 アンジェラの呪いは解けるのか?
表紙を見る 表紙を閉じる
前世で、戻ってくると約束したらしいんですけど……
表紙を見る 表紙を閉じる
罰ゲームで求婚?でもこんなに好みの男、今後二度と会えないわよね?

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop