魔力を固めると箱になるんだもん
 これを見た幼馴染のバジルに、前すっごくバカにされたんだよね。
 それでムカついたあたしは、試行錯誤で魔力をこねくり回したのだ。

「でね、色々試した結果、魔力を箱型にすることにしたの」
「箱……」
「これ面白いんだよ。ほら、こんな風に他の魔力を入れることが出来るの」
「入れる……」

 お父さんもラベンダーさんも、なんか片言しか話せなくなってるよ。そんなに変かな?

「たとえばお父さんの水魔法の塊を入れると――はい、綺麗に収まりました」
「はっ?」

 丸い魔力の塊って、この箱に入れるときちんと収まるんだよね。水だからかと思ったんだけど、他の魔力でも同じだった。

「これ、便利じゃない? たとえばさ、水の適正ゼロの人のところへ、水魔法の塊を渡すこともできるんだよ? 火魔法使えない人に火魔力入れて渡せば、一人でも火を起こせるとか。――変、かな?」

 自分以外の魔力を運べるってあたしはアリだと思ったんだけど、やっぱり魔法適正ゼロ判定になっちゃうのかな。それはそれで別にいいけど。お隣のお姉さんは魔力ほぼゼロでも優秀な染め物士だし、そういう道もアリだよね。

 そんなことを考えながら、呑気にあくびをかみ殺していたあたしは知らなかった。

 この魔法が、やがて箱魔法と呼ばれることを。


 数年後。

「ミント・グリージャ。西の都にいる老治癒士の元へ行き、光魔法を君の箱に入れて持ち帰ってくれ」

 病弱な王女様のために、そんなとんでもない依頼を受ける羽目になるなんて、このときのあたしは夢にも思わなかったんだよねぇ……。

< 4 / 4 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
罰ゲームで求婚?でもこんなに好みの男、今後二度と会えないわよね?
梅香る日

総文字数/1,888

恋愛(純愛)1ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
恋愛結婚が稀で、結婚相手を親に決められていた時代のお話です
夢見草が咲くころに

総文字数/4,497

恋愛(純愛)7ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
夢見草は桜の別称です

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop